【文法13】形容詞の役割 補語又は修飾語【品詞と文型】

文の要素 (S, V, O, C) を見つけるには,名詞,動詞,形容詞に注目します。
今回は形容詞について解説します。

形容詞は文の要素 C(補語)になることができます。
しかし,M(修飾語)として機能している場合もあります。
形容詞が「補語」なのか「修飾語」なのか見分けることは文型を決定する際に重要です。
見分け方は簡単で「形容詞の後ろに名詞があるかないか」です。

以下例文を見ていきます。

例文の happy は形容詞,cat は名詞です。

(1) The cat is happy.(その猫は幸せです。)
形容詞 happy の後ろには名詞がないので,happy は補語である。

(2) It is a happy cat.(それは幸せな猫です。)
形容詞 happy の後ろには名詞 cat があるので,happy は cat を修飾する修飾語である。

≪まとめ≫
happy - 名詞なし ⇒ C(補語)
happy - 名詞あり ⇒ M(修飾語)

形容詞の役割

【文法12】品詞と文型による英文の構造理解

品詞と文型を体系的に学ぶことで,英文の構造が見えます。

≪例文≫
For most people, their friendships are a valuable and important part of who they are.
(センター試験 2017年度 英語 第6問 第1段落 第1文 より)

 

矢印は修飾関係。赤い括弧は前置詞句。黄色い括弧は and で結ばれる言葉。

上図のように英語の構造が見えることが英語の基礎力だと思います。このような基礎力を身につけないで,単語・熟語・構文・文法に関する個々の知識を暗記しても壁にぶつかります。個々の知識を結び付けるシステムが必要です。それが品詞と文型です。

以下は図の解説です。

主語 (S) と目的語 (O) を見つけるには,前置詞のついていない名詞を探します。
「前置詞のない名詞」は文中で主語,目的語,補語のいずれかになります。
例文中では friendships と part です。

people は名詞ですが前方に前置詞 for がついているので,主語,目的語,補語にはなれません。

most は people を修飾する形容詞です。
their は人称代名詞の所有格です。所有格は形容詞として働き,後方の名詞を修飾します。

are はbe動詞の現在形で,主文の本動詞となっています。
a は part の冠詞です。冠詞は形容詞の一種で,名詞を修飾します。
valuable と important はどちらも形容詞で名詞の part を修飾しています。
and は valuable と important を対等に結んでいます。黄色の括弧で示しました。
part は前置詞のない名詞なので目的語になっています。

who they are は名詞節を形成し,前置詞 of の目的語となっています。
この who は先行詞が省略された関係代名詞として見ることができますが,疑問代名詞の who が名詞節を形成していると考えることもできます。どちらにしても名詞節を形成しています。

of who they are は前置詞句で形容詞として働き,前にある名詞の part を修飾しています。

文の骨格(文型)は SVO で第3文型です。

修飾語を省くと以下のようになります。
Friendships are a part.
(友情は一部である)

群馬県公立高校入試 英語 2017年 第6問 空所補充選択問題 過去問解説

6  中学生の Rie の家にホームステイしているアメリカ人の Sara が,日本の学校生活を1日体験しました。次の英文は,Rie と Sara がその日に交わした会話の一部です。これを読んで,後の (1), (2) の問いに答えなさい。

After lunch, Rie was talking to Sara.

Rie: Was *school lunch good? You ate everything.
Sara: Yes. I enjoyed it, but I have a question. [   A   ]
Rie: Of course. In my school, we always eat school lunch here. [   B   ]
Sara : Because I don't eat lunch in my classroom. In America, many students eat lunch in the school *cafeteria.
Rie: Oh, I didn't know that.
Sara: Now I want to go to the school library. Will you come with me?
Rie: Sorry, Sara. [   C   ] We are going to clean our classroom.
Sara: Do we have to do it? Do students clean classrooms in Japan?
Rie: Yes. I have cleaned my classroom since I was in *elementary school.
Sara: Wow, that's interesting! In my school, *janitors clean all the classrooms, so students don't have to do it.

After they cleaned the classroom, Mr. Mori, Rie's *homeroom teacher, talked to them.

Mr. Mori: Thank you for cleaning the classroom with us, Sara.
Sara: You're welcome, Mr. Mori. Cleaning the classroom was very interesting. We did a lot of things together. For example, I carried desks with other students. It was a good experience for me.
Mr. Mori: [   D   ] Cleaning the classroom is very important.
Rie: I think so, too. It is also important for us to work together because _________________________________________

(注)school lunch 給食     cafeteria 食堂
elementary school 小学校     janitor 学校の管理人
homeroom teacher 担任の先生

(1) [   A   ] ~ [   D   ] の部分に当てはまるものとして,次のア~エから最も適切なものを,それぞれ選びなさい。

A
ア Do you really think it is new?
イ Do you often want to go to America?
ウ Do you sometimes have class after lunch?
エ Do you always eat lunch in your classroom?

B
ア Why do you ask such a question?
イ Why did you eat lunch in your classroom?
ウ Why do you eat everything?
エ Why did you ask me about America?

[C]
ア We should go to the library.
イ We can't eat school lunch tomorrow.
ウ We should go to school every day.
エ We can't go there now.

[D]
ア That's too bad.
イ Don't worry about it.
ウ I'm glad to hear that.
エ Take care of yourself.

(2) _______ の部分に当てはまる英語を,本文の流れに合うように内容を考えて書きなさい。

以下解説です。

空所の前後の文から流れを予測して選択肢を選べばよいです。選択肢も紛らわしいものはありません。

Sara: Yes. I enjoyed it, but I have a question. [A]
(ええ。楽しんだけど,質問があるの。)
Rie: Of course. In my school, we always eat school lunch here. [B]
(もちろん。いつもここで給食を食べるよ。)
Sara: Because I don't eat lunch in my classroom. In America, many students eat lunch in the school cafeteria.
(私は教室で昼食をとったことがないから。アメリカでは食堂で昼食をとるわ。)

[A]
ア Do you really think it is new?
(ほんとうにそれが新しいと思うの?)
イ Do you often want to go to America?
(アメリカへはよく行くの?)
ウ Do you sometimes have class after lunch?
(昼食後に時々授業があるの?)
エ Do you always eat lunch in your classroom?
(いつも教室で昼食をとるの?)

サラの質問に対するリエの回答を手掛かりにします。リエは we always eat school lunch here(私たちはいつもここで昼食をとります)と答えているので,Do you always eat lunch in your classroom?(いつも教室で昼食をとるのですか。)が正解となります。質問文と回答文が多くのキーワード (always, eat, lunch) を共有していることもヒントです。
正解は エ。

[B]
ア Why do you ask such a question?
(どうしてそのような質問をするの?)
イ Why did you eat lunch in your classroom?
(どうして教室で昼食をとったの?)
ウ Why do you eat everything?
(どうして全部食べたの?)
エ Why did you ask me about America?
(どうしてアメリカについて聞いたの?)

前後の流れから,ア Why do you ask such a question?(どうしてそのような質問をするの。)が正解です。他の質問は,その後のサラの回答とつながりません。サラはアメリカでは食堂で昼食をとると回答しています。

Sara: Now I want to go to the school library. Will you come with me?
(図書室へ行きたい。一緒に来る?)
Rie: Sorry, Sara. [C] We are going to clean our classroom.
(ごめん,サラ。これから教室を掃除するのよ。)

[C]
ア We should go to the library.
(図書館へ行くべきね。)
イ We can't eat school lunch tomorrow.
(明日は給食を食べられない。)
ウ We should go to school every day.
(毎日学校へ行かなきゃ。)
エ We can't go there now.
(今はそこへ行けないの。)

リエはサラに図書館に行こうと誘われるが,掃除をしなければならないので,行けないことを伝えます。
正解は エ。

Sara: … It was a good experience for me.
(よい経験になりました。)
Mr. Mori: [D] Cleaning the classroom is very important.
(教室の掃除はとても大切です。)
Rie: I think so, too. It is also important for us to work together because _____(2)_____
(私もそう思います。一緒に作業をすることも大切だと思います。なぜなら・・・)

[D]
ア That's too bad.(それは残念。)
イ Don't worry about it.(気にしないで。)
ウ I'm glad to hear that.(それを聞いて嬉しいわ。)
エ Take care of yourself.(お大事に。)

サラは掃除がよい体験だったと言っているので,それを聞いた先生は嬉しかったはずです。
正解は ウ。

(2) 英作文
公式の回答例:we can learn how to help each other.
(お互いを助ける方法を学ぶことができます。)

work together(一緒に作業すること)が important(大切)な理由を考えます。

≪英作文のポイント≫
【1】難しい英文をつくる必要はありません。簡単な文で大丈夫です。
【2】綴り
普段から実際に書いて練習をして,正確な綴りで英文を書けるようにしましょう。綴りの間違いは減点対象です。
【3】文法
文法も明らかな間違いは減点されます。公式回答例で言えば,下記の様な部分を間違えないことです。
・can + 動詞の原形:~することができる
・how to + 動詞の原形:~の仕方
・help (人):(人) を助ける
・each other:お互い
【4】表現
教科書や過去問などから,使いましができそうなフレーズを蓄積しておきましょう。今回の公式回答例であれば下記のように覚えておくと有効です。
・can learn how to do: ~の仕方を学ぶことができる
【5】過去問
英作文は大切な得点源です。過去問の英作文問題は必ず解いておきましょう。過去問にはエッセンスが詰まっています。

【文法11】主語って何? 名詞と前置詞からの考察 【高校生】

『主語は「~は」と訳せる部分である』という説明がされる場合があります。
これに対して,『なぜ「~は」と訳せるのか?』と問うと,「主語だから」という回答が返ってくる場合があります。
『主語であること』と『「~は」と訳せること』がお互いの根拠になっており,論理の出発点が不明です。

根拠の循環

ではどうすれば主語が明確になるでしょうか。
主語は「文の最初に出現する前置詞を伴わない名詞」です。そして主語だから「~は」と訳すことができます。

≪主語を捉える流れ≫
名詞 ⇒ 主語 ⇒ 「~は」

主語を決定するには,「文の最初に出現する前置詞を伴わない名詞」を見つければよいのです。
下記例文の主語を見つけてみましょう。

For most people, their friendships are a valuable and important part of who they are.
(センター試験 2017年度 英語 第6問 第1段落 第1文 より)

まず,先頭から名詞を探していきます。
最初の名詞は people,次に friendships が出てきます。

people は最初に出現する名詞ですが,for (前置詞)がついているので主語にはなれません。因みに most は people を修飾する形容詞です。

主語とは何か

friendships についているのは their だけで,前置詞はありませんから,これが主語となります。

従って,For most people を「ほとんどの人は」と訳してはいけません。主語ではないからです。their friendships の方を「彼らの友情は」と訳します。

For most people ⇒ 主語ではない ⇒ ほとんどの人にとって
their friendships ⇒ 主語である ⇒ 彼らの友情は

≪重要≫
主語 = 文の最初に出現する前置詞を伴わない名詞

このルールが当てはまらない場合もあります。倒置が起こった場合や前置詞句そのものが主語になっている場合などです。しかし,まず基本の形を知っておくことが大切です。基本の形がわからなければ,例外も認識することができません。

大きな数・小さな数を表す言葉数詞 命数法

大きな数の単位

十,百,千,万,億,兆,京,垓,𥝱,穣,溝,澗,正,載,極,恒河沙,阿僧祇,那由他,不可思議,無量大数

大きな数の単位
1 mol ≒ 6千垓

小さな数の単位

分,厘,毛,糸,忽,微,繊,沙,塵,挨,渺,漠,模糊,逡巡,須臾,瞬息,弾指,刹那,六徳,虚空,清浄,阿頼耶,阿摩羅,涅槃寂静

小さな数の単位

群馬県公立高校入試 英語 2017年 第5問 空所補充選択問題 過去問解説

5
次の英文は,中学生の Taro が,オーストラリアにいる友人の Kate に送った電子メールの一部です。これを読んで,英文の意味が通るように,(ア) ~ (エ) に当てはまる単語を下の〔           〕内からそれぞれ選び,書きなさい。また,[A] に当てはまる単語を書きなさい。

Hi, Kate.

I was happy to (ア) an e-mail from you.
Today, I want to tell you about our school events. We have many school events, *such as *a chorus contest, a school festival, and a school trip.
Last week, we had a chorus contest. Every class practiced [A] for the contest.
The chorus contest is (イ) in our town. Every year, many people in our town come to see our contest and enjoy it. This year, about 200 people came to our contest. It was [A] for us to sing well *in front of many people, but we did our best. At the (ウ) of the contest, all the students sang our school song together. It was wonderful. Does your school have a chorus contest (エ) ours?

(注)
such as ~ ~のような
chorus contest 合唱コンクール
in front of ~ ~の前で

〔begin   end   famous   interested   like   receive   same   write〕

以下解説です。

(ア)
I was happy to (ア) an e-mail from you.

これは典型的な不定詞 (to do) の問題です。
受験生であれば「be happy to」の形をどこかで見たことがあるはずです。

「be happy to」の後ろには「動詞の原形」を続けていきます。

選択肢の中で動詞の原形として使える可能性があるのはbegin, end, like, receive, write です。

後ろを見ると an e-mail from you(あなたからのEメール)とあるので「Eメールをもらって嬉しい」と考えます。

従って,receive (受け取る)が正解です。

I was happy to receive an e-mail from you.
(あなたからEメールをもらってうれしかったです。)

be happy to do の構文は頻出なのでしっかりと覚えておくとよいです。以下図解しておきます。

 

be happy to do

happy は他の感情を表す形容詞に変えることができます。
・be happy to do: ~してうれしい
・be glad to do: ~してうれしい
・be sad to do: ~して悲しい
・be sorry to do: ~して残念だ
・be surprised to do: ~して驚いている

(イ)
The chorus contest is (イ) in our town.
Every year, many people in our town come to see our contest and enjoy it.

空所の前が is です。is は be動詞です。また,(イ) には1単語しか入れることはできません。
be動詞の後ろに置ける1単語は,名詞,形容詞,doing, done などです。
doing, done の形は選択肢にありません。名詞の end は文脈上無理そうです。
そこで,形容詞である famous, interested, same を以下検討します。

◇ 「be interested in: ~に興味がある」という熟語を覚えている受験生は多いと思います。
形だけを見ると interested を入れてしまいそうです。しかし,これでは意味と文脈がおかしいので,不正解です。

不正解:The chorus contest is interested in our town.
(合唱コンクールは私たちの町に興味がある)

◇ same も形容詞なので is の後ろに続けることはできますが,これは通常 the same の形で使われるので,same だけ単独で入れることはできなそうと考えます。

◇ 後ろの文を見ると,毎年たくさんの人がコンクールを見にくるとありますから,famous を入れれば文脈上適切になります。

正解:The chorus contest is famous in our town.
(合唱コンクールは私たちの町で有名です)

(ウ)
..., but we did our best. At the (ウ) of the contest, all the students sang our school song together.

the の後ろには名詞がきます。また,名詞の後ろに「前置詞 + 名詞」が続く形も多いです。従って,下記のような予測ができます。

≪重要≫ the → 名詞 ← of the contest

選択肢の中で名詞として使えるのは,end, same, like です。
・end: 最後
・the same: 同じ人(物)
・the like: 似た人(物)
名詞として使う場合,same と like は the をつけます。また,高校入試の範囲では same と like が名詞として使用される場面は少ないと思います。

後は文脈です。we did our best(私たちはベストを尽くした)とありますから,コンクールは終盤であると考えられます。

正解:At the end of the contest(コンクールの最後に)

(エ)
Does your school have a chorus contest (エ) ours?

空所の後ろにある ours に注目します。

we, our, us, ours の ours です。人称代名詞の変化は必修ですね。この ours の使い方を復習しましょう。

our cat (私たちの猫) = ours (私たちのもの)
our car (和たちの車) = ours (私たちのもの)
our book (私たちの本) = ours (私たちのもの)

つまり,our + 名詞 = ours として使用できます。
しかし,ours と言われると,それが猫なのか,車なのか,本なのかはわかりません。
どこから分かるかというと,文脈です。空所の前を見ると,a chorus contest (合唱コンクール)があります。これを受けています。つまり,ours = our contest です。

改めて,問題文を見てみます。
Does your school have a chorus contest (エ) ours?
(あなたの学校には私たちのコンクール(エ)合唱コンクールがありますか)

後は選択肢から意味が合いそうな単語を選びます。
ここでは,like (~のような)を入れれば正解です。
A like B (BのようなA)

正解:Does your school have a chorus contest like ours?
(あなたの学校には私たちのコンクールのような合唱コンクールがありますか)

◇ ここで使用した like は要注意の選択肢です。
動詞として使うと「~が好き」,前置詞として使うと「~のような」という意味になります。この2つの使い方を分かっているか,高校入試では本当によく問われます。

≪重要≫ like: 好き(動詞),~のような(前置詞)

以下例文を上げておきます。文の構造の違いをよく見ておいてください。
1) He likes his father. (彼は父親が好きだ)
⇒ 文型:S like O(S は Oが好き)
2) He is like his father. (彼は父親に似ている)
⇒ 文型:S be like O(S は Oに似ている)

[A]
Every class practiced [A] for the contest.
It was [A] for us to sing well in front of many people, but we did our best.

空所 [A] に共通する語句を入れる問題です。

Every class practiced [A] for the contest.
各クラスがコンクールのために [A] 練習した。
⇒ どんな風に練習したのか?
⇒ 文章後半で「全力を尽くした」と言っているから,一生懸命に練習したのだろう。
⇒ 「一生懸命に」だから hard

It was [A] for us to sing well in front of many people, but we did our best.
多くの人の前で上手に歌うのは,私たちにとって [A] だったが,全力を尽くした。
⇒ 多くの人の前で上手に歌うのは,一般的に難しいと予測できる。
⇒ 「難しい」だから difficult か hard

以上より,両方に共通して入れられるのは hard です。

≪まとめ≫
practice hard: 一生懸命に練習する
It is hard for (人) to do: (人)にとって~することが難しい
≒ It is difficult for (人) to do

【第5問 解答】
(ア)receive  (イ)famous  (ウ)end  (エ)like
[A] hard

 

≪補足発展:以下は上級者向けです≫
like が動詞(~が好き)として使用されているのか,前置詞(~のような)として使用されているのかを「論理的に」見分けるのは容易ではありません。
英文の構造を適切に理解している必要があります。普段から単語の意味だけを結び付けて英文の意味をなんとなく予測するような学習では辿りつけない場所があります。
英文法,特に文型と品詞を体系的に理解して初めて論理的に見分けられるようになります。

問題文の like はどうして動詞(~が好き)ではないのか端的に解説しておきます。
Does your school have a chorus contest like ours?

上記英文の本動詞は have です。そして,英文中に接続詞がありません。従って,本動詞は have ひとつだけということになります。だから,like は動詞ではなく前置詞(~のような)として使われていると考えます。

なぜ,have が本動詞と分かるのか,接続詞がないと本動詞が1つだけとはどういうことなのか。そういう疑問が湧いたかもしれません。それを理解するには,やはり,品詞と文型を体系的に学ぶ必要があります。

単語の意味だけを頼りに英語を理解することは難しいことです。英語の学習の初期の段階に,品詞と文型を体系的に学んでおくと,その後の伸びが全く違います。

【文法10】冠詞 + 名詞 の機能

前回は,「冠詞 + 名詞」=「名詞句」の組み合わせについて解説しました。全部で5種類ありました。覚えているでしょうか。

例:book であれば下の5つの形が可能です。
(1) book: 無冠詞単数形
(2) books: 無冠詞複数形
(3) a book: 不定冠詞単数形
(4) the book: 定冠詞単数形
(5) the books: 定冠詞複数形

「形」は上記5種類しかないのでシンプルで簡単ですが,
それが表す「意味」は複雑です。
皆さんも学校の授業や参考書で色々な解説を聞いたことがあると思います。

例えば,go to school の school に a や the がつかいないのは建物としての学校ではなく,「勉強する場」としての意味だからとか,the がつくと「特定」されるなどの解説です。

もちろん,そのような解説は有益です。しかし,一体全体としてどのように冠詞のシステムが機能しているのか,俯瞰するような解説がなかなかありません。

私自身,色々な冠詞についての本を読みました。その中で冠詞を体系的に俯瞰するのに役立ったのが,石井隆之氏の「冠詞マスター教本」という本です。特に終章にある図解は役立ちました。

同書などを参考にして,自分なりに発展させ冠詞を俯瞰したものが下図です。まだまだ改良の余地はあると考えていますが,冠詞の認知システムの枠組みを提示できたと思います。

冠詞 + 名詞 の機能

まず,図の一番上にあるのが「名詞の原形」です。これは辞書の見出しだと思ってください。

そこから,a book 又は books の形になると普通名詞になります。不定冠詞の a や 複数形はその名詞が数えられるものであり,具体性があることを表します。

一方,book そのままの形で不定冠詞がつかず,複数形にもならない名詞(無冠詞単数形)は特殊名詞となります。
特殊名詞は普通名詞と反対にあるもので,数えることができず具体性がありません。特殊名詞には固有名詞,物質名詞,抽象名詞があります。

よく,名詞には可算・不可算(数えられるか数えられないか)があり,book は普通名詞で数えられ,water は物質名詞で数えられないという説明が文法書にあります。
しかし,もともと book は普通名詞,water は物質名詞と決まっているわけではないと考えます。

原則として,あらゆる名詞が可算にも不可算にもなり,普通名詞にも,固有名詞,物質名詞,抽象名詞にもなると考えます。名詞が普通名詞になるのか,特殊名詞になるのか決定するのは冠詞です。冠詞が名詞の状態を決定しています。
確かに,個々の名詞に性格があるのですが,冠詞と名詞の相互関係を理解する時には,もっと大雑把な理解をした方が有益だと思います。

≪まとめ≫
・名詞は普通名詞にも特殊名詞(固有,物質,抽象)にもなれる。
・名詞が普通名詞になるか特殊名詞になるかは冠詞が決定する。

図の下側には 定冠詞 the の表があります。
定冠詞 the は後ろの名詞が単数でも複数でも大丈夫です。
そして,定冠詞 the は名詞が普通名詞の状態であっても特殊名詞の状態であっても,関係なく付けることができます。

定冠詞 the の役割は「指し示す(指示)」ことです。
指示の仕方には3種類あります。
(1) 特定:具体的な本という物体を指し示す場合。「その本」と訳せる。
(2) 総称:本をグループとして指し示す場合。「本というものは」と訳せる。「(一般的に)本(というもの)は紙でできていて,文字が書いてある。」などと言及する場合などに使う。
(3) 機能:本が持つ機能を指し示す場合。
・by the book(規則通りに):本には規則が書かれるから。
・hit the books(勉強する):本で学習できるから。
・one for the book(s)(注目すべき事):本には重要な事が書かれるから。

いかがでしたでしょうか。冠詞と名詞をぐっと身近に感じてもらえたら幸いです。

【文法9】冠詞 + 名詞 5種類の名詞句

前回までは be 動詞の文型について考察をしてきました。
これからも be 動詞について続けていく予定ですが,今回は文を作る重要な部品である「名詞」についてです。

名詞は人・物・事の名を表す語です。
具体的には以下のよう言葉があります。

人:student (学生)
物:book (本)
事:happines (幸福)

どのような単語が名詞なのかは辞書を見れば書いてあります。
(名) という印があれば,その言葉は名詞として使えるということです。

下記の例文にはいくつの名詞があるでしょう?

This is a book about cats.
(これは猫についての本です。)

book (本) と cat (猫)が名詞です。

book の前に a という言葉がついています。
この a は冠詞と呼ばれる言葉です。
冠詞には下記3つの種類があり,名詞につきます。

(1) 不定冠詞: a, an
(2) 定冠詞:the
(3) 無冠詞:無冠詞は名詞の前に a や the がない状態を指します。

cat には s がついて cats となっています。
名詞に s がつくと複数であることを表します。
book には s がついていないので単数です。
名詞には単数形と複数形があります。

≪まとめ≫
a book: 不定冠詞 + 単数名詞
cats: 無冠詞 + 複数名詞

上記のように冠詞と名詞はセットで文中に現れます。
このセットのことを「名詞句」と言います。
名詞には単数と複数があり,
冠詞には不定冠詞,定冠詞,無冠詞の3種類があります。

可能な組み合わせは下図の5つとなります。
冠詞 + 名詞(1) book: 無冠詞単数形
(2) books: 無冠詞複数形
(3) a book: 不定冠詞単数形
(4) the book: 定冠詞単数形
(5) the books: 定冠詞複数形

冠詞と名詞の組み合わせの可能性は上記の5種類で全てです。5種類しかありませんので,冠詞と名詞の組み合わせを把握するのは難しくないと思います。

しかし,それぞれの形が英文中でどのような意味を表すのかは複雑です。形は簡単,意味は複雑です。

どの形も根幹の意味は「本」ですが,その本をどのように捉えているかという話し手の認識が異なります。

次回以降,「冠詞 + 名詞」が表す複雑な意味を,なるべく簡単に解説していこうと思います。